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絵本は心に届く子守(絵本よもやま通信2019年度最終号)

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ほっぺるだより

新島橋かちどき

絵本は心に届く子守(絵本よもやま通信2019年度最終号)

ほっぺるランド新島橋かちどき

主任 藤得

 

ほっぺるランド新島橋かちどきでは、

2019年度より隔月で

「絵本よもやま通信」を発行しています。

ご家庭で絵本をお子様と読むのを

より楽しめるヒントをご紹介する

ことを目的とした、絵本のおたよりです。

 

先日の運営委員会で

デジタル媒体に掲載してはどうでしょうかと

ご意見を頂き、ほっぺるだよりに

絵本よもやま通信の最終号を

掲載することにしました。

 

在園家庭の皆様、

「絵本よもやま通信はじめまして」の方も、

ぜひゆっくりとお読みになってください。

連続もののおたよりですが、

毎回完結した内容となっています。

 

最終号の本題に入る前に、

「絵本よもやま通信はじめまして」の方に

私の簡単な自己紹介をさせて頂きます。

絵本専門士という資格を持ち、

様々な場で子どもと絵本を読み、

絵本や子育て関係のイベントに出演させて頂き、

ご依頼を頂くと絵本の講座もやっております。

※30コマの授業と事前課題・事後課題・修了課題により構成。

絵本に関する高度な知識、技能及び感性を備えた絵本の専門家です。

(絵本専門士HPより抜粋)

色々書きましたが、絵本専門士を簡潔に説明すると、

「絵本を“楽しむ”プロ」と私は思っています。

楽しみ方を知っているから、人に絵本の良さを伝えられるのです。

 

2019年度最後のよもやま通信は、

〇「みんがらばー!はしれはまかぜ」

文:村中李依 絵:しろぺこり

〇「おしくらまんじゅう」

作:かがくいひろし

 

この2冊を子どもと実際に読んだ体験をご紹介し、

私が考える

”なぜ子どもは絵本が好きなのか”

をお話をします。

 

 

それぞれの絵本が持つ力

まずご紹介するのは、4歳からオススメしたい

力強い物語絵本

「みんがらばー!はしれはまかぜ」です。

 

ディーゼルターボエンジンで走る

「特急はまかぜ」が主人公の物語。

周りは電気エネルギーで走る電車が多くなる中、

はまかぜは大きな音を発しながら力強く走ります。

ザザゴン ガガコン

ザザコン ガガコン

毎日を元気いっぱい真っ直ぐ

駆け抜けるはまかぜの下に、

ある噂が聞こえてきます。

「おまえは、でっかいハサミで

ギッチョンチョンだ。

もとの鉄にもどされちまうのさ」

不安な気持ちで一杯になるはまかぜ。

整備士の原田さんもいつもと様子が違う。

そんな時です、原田さんの下に

ミャンマーから電話がかかってくるのでした・・・。

 

はじめ、私はこの絵本が苦手でした。

長い物語、更に妙な読みづらさを

感じていたからです。

数回読んできた中で、「相性が合わないな」という

印象が私の中に根付いていました。

 

西新小岩園に出張おはなし会をした時、

子どもたちがこの絵本を読みたいと言いました。

そう言われて断るわけにはいきませんので、

私は渋々読み始めようとしました。

脳裏に、「相性が合わない読みづらい絵本」

という言葉が浮かびます。

しかし子どもが読みたいというのだから、

しのごの言わず全力で読んでしまえ!

とページを開きます。

 

初めの数ページ、

やはり弱気な気持ちで読んでしまう。

「違う違う!そうじゃない!

分からないから全力で読むと決めたろ!」

と自分に言い聞かせ、

ただひたすらにページをめくり言葉を声にします。

 

すると、あらま、不思議。

絵と言葉と私、

この3つが繋がる感覚が芽生え始めました。

そして、それを感じると

読むのが面白くなってきたのです。

 

ザザゴン ガガコン ザザコン ガガコン

という言葉がピッタリくるような、

全力で駆け抜けるような読み。

子どもたちは見る事を通して

「読んでいる」のが伝わってきます。

気づくと読み終えていました。

 

私は「ふぅーーーー」と、

大きく一息。

激しい運動をした直後のような疲労感。

しかし、心地のいい疲労感。

子どもたちも、私と同じような反応をしていました。

「はぁーー」と一息つく子。

体を伸ばして「うぅーーん」と体をほぐす子。

しかし、皆、笑顔でした。

 

はかまぜの駆け抜けた人生を、

絵本を「一緒に読む」ことで

私たちも体験したのだと感じました。

「みんがらばー!はしれはまかぜ」という絵本は、

全力で読む事を求めてくる絵本なのです。

 

私は今まで色々な所で

様々な絵本を読んできましたが、

「絵本が読み手に求める」

という感覚を味わったのは

これが初めてでした。

絵本が求めてくることに全力で応えるから、

味わえる楽しさがこの絵本にはあります。

絵本には、読み手から

「読みを引き出す」力がある

のだとこの体験が教えてくれました。

頭だけで考えるのではなく、

絵本と目の前の人を感じようとすることの大切さ。

大切にすると、絵本を通した子どもと

過ごす時間の輝きが増していく。

その時間が生むのは、

最上の「楽しい!」なのだなと感じました。

わらべ唄絵本

続いてご紹介するのは「おしくらまんじゅう」です。

0歳から100歳まで楽しめる

「だるまさん」シリーズを

作られた、かがくいひろしさんの作品です。

 

可愛いおまんじゅうが、色んなものと

おしくらまんじゅうを楽しむ絵本。

こんにゃく・納豆などそれぞれの「もの」が

持つ特徴で、おしくらまんじゅうという遊びが

「特別な触れあい」になっていきます。

2019年に有楽町国際フォーラムで開催された

子育てイベント「WORKO!」に、

某出版社のブースで

「赤ちゃんから楽しめる

おはなし会&読み方セミナー」の

講師をやらせて頂いた時に読みました。

 

おはなし会には1歳の赤ちゃんから

小学校高学年くらいまで、

多様な年齢の子どもにお母さん・お父さんが

いらっしゃいました。

 

ある絵本を読むと、

それが面白くて「わーーっ!」と元気に声をあげて

楽しんでくれる子どもたち。

その次に読んだのが、

「おしくらまんじゅう」でした。

わらべ唄のように節をつけ、私は読み始めました。

 

♪おーしくら まんじゅー

おーされーて ギュ おーされーて ギュ

ギュ ギュ ギュ♪

 

立ち上がっていた子たちが次第に腰を下ろし、

絵本を見ながら体でリズムをとり始めます。

 

ついさっきまで体全体で「楽しい!」を

表現していた子どもたちが、

静かに「おしくらまんじゅう」を

楽しんでくれているのです。

 

日本語の「読む」には「書物を読む」の他に、

「詠む」という言葉もあります。

辞書で調べますと

「声を長く引いて詩歌を吟詠する」とあります。

つまり「歌う」という事です。

 

絵本には「読み」と「詠み」があるのです。

そして絵本における「詠み」と

「わらべうた」は相性がいいのです。

きっとこの2つを深掘りすると、何かしらの共通点や

重なるルーツがあるように思います。

 

私は色々な絵本を唄うように読み(詠み)ます。

テキストの量が多く乳児には難しいと

思われるように絵本でも、わらべうたのような

節をつけると途端にジッと味わってくれます。

 

その代表格といえる絵本の一つに、

「きょだいな きょだいな」があります。

ご興味のある方は、ぜひ調べてみてください。

 

絵本は子どもの子守唄

なぜ「うた」にすると子どもは見るのか、

この疑問をずっと持ち続けていました。

その答えをくれたのは

福音館書店の名物編集長であり、

日本の絵本界の礎を作った1人である

松井直さんの書籍

「絵本は心のへその緒」でした。

書籍の中でこのように語っています。

 

(書籍より引用)

「赤ちゃんに絵本がわかるのですか?」

という問いに、松井は

「赤ちゃんにとって絵本は、

わらべ唄や子守唄のようなものです」

と答えている。

自分のことを大切に思ってくれている人からの、

気持ちのこもったあたたかい言葉を聞くことが、

子どもの育ちにおいて、

もっと言えば、人間が生きていく上で、

欠かすことのできない経験になる

という確信に至ったという。

絵本は心のへその緒 p5

 

この言葉を見て私は

「なるほどー」と大きく頷いてしまいました。

科学的な根拠はないのですが、

今までの経験から「確かに!」と

感じたのです。

 

ちなみに、親が子どもに読み聞かせをすると

オキシトシンという愛情ホルモンが

分泌されるというのは有名な話です。

 

私が考える

子どもが絵本を好きな理由は、

 

①「私に読んでくれている」

という喜びとぬくもりを感じられる。

 

②近しい人が読んでくれるから、

安心安全を胸に抱きながら冒険をすることができる。

 

③なんたって、面白い!

最後に、子どもにとって読んでもらうという体験が

子守唄であるように、

「一緒に読む大人」にとっても

子守唄なのではないでしょうか。

互いの息づかいや体温・心と心の交わりを

絵本を通して感じることは、

幸せをかみしめる時間になるからです。

 

小難しいことを書きましたが、

最後にお伝えすることは単純です。

絵本を子どもと読むのは、楽しいです!!

 

2019年度の絵本よもやま通信に

お付き合いくださった、

新島橋かちどき園の皆様ありがとうございます。

このほっぺるだよりを見てくださった皆様も、

ありがとうございます!!

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